イベントレポート - 2018.09.18

7/25 やきスタ実演ライブVol.2 長野県上田市「やきとり番長」小林誠

7月25日、「やきとりスタジアム東京(やきスタ)」で、長野県上田市の銘店「やきとり番長」の店主・小林誠さんによる「やきスタ実演ライブVol.2」が開催されました。
 
 
 
 
 
皆さまにも、その場の雰囲気をお裾分けしたいと思います。

ライブスペースは、テーブルフロアより少し高く、焼き師を囲むようにL字型のカウンター席が8席。予約できた数名だけが足を踏み入れることを許される、プレミア感溢れるステージに胸が高鳴ります。

席についてソワソワとしていると、「今日はありがとうございます」と、番長こと小林さんがご登場。上田の名将・真田幸村公の六文銭兜がデザインされた黒いTシャツ姿が凛々しいです。

 
 
 
「僕は、お客さんを帰すこともあるんですよ。『お金返すから帰ってください』って。
おいしいって食べてくれている他のお客さんに迷惑がかかることもありますから」

 
そんな“前口上”を受け、「ただならぬことが始まる」期待と緊張が高まったところで、香ばしい煙が舞い上がり……いよいよ「番長ライブ」の開幕です!!

 
 
 
 
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信州の食文化を堪能できる、贅沢な時間

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コースのお品書きがこちら。

上田のお店でも普段は提供していないメニューばかりで、この日のためだけに「上田らしいものを」と小林さんが考え抜いた特別コースだそうです。

 
【焼き師特撰「番長」上田コース】

先付け(いなご、蜂の子、鮭のあらい揚げ、新鮮野菜〜信州みそを添えて〜)

吸い物(冷製コーンスープ)

刺身(馬刺し)

焼き物(かしら串、真田丸もも焼き、信州牛)

煮物(鮭のうま煮)

揚げ物(トウモロコシのかき揚げ、りんごの天ぷら)

蒸し物(松茸の茶碗蒸し)

酢の物(塩丸イカときゅうりとわかめ)

ご飯もの(信州そば)

お新香(野沢菜)

デザート(真田レッドアップルパイ)

地酒

 
 
信州珍味をいただく目の前で、じっくりふっくらと焼き上げられていくのが上田の高級地鶏「真田丸」。

「真田丸は、生産者が少なく、2000羽くらいしかいません。大河ドラマの影響でさらに人気が高まって、貴重な鶏なんですよ」と小林さん。

真っ赤なうちわで仰がれるたびにブワっと舞い上がる灰がダイナミックですが、風を起こす小林さんの右手と、そっと添えられる左手の動きは繊細で、こちらは素人ながら、職人の技を感じます。

(ちなみに、この日は助っ人にまわっていた「やきスタ」の料理長さんが、灰を眺めながら「この紀州備長炭がいいものなんですよ。」とつぶやいていらしたのが印象的でした)

 
 
 
 
 
 
 
お肉が焼き上がるまで、信州の味覚に舌鼓を……。

どのメニューも、口に運ぶ度に客席から「うーん、美味しい」とため息のような言葉が漏れます。その中でも特に感動と驚きの声が上がったのが、冷静コーンスープ。

さらりとしていて見た目はあっさりとしているのに、いざ口の中に入ると、濃厚な甘みが広がって、思わず目を見開いてしまう美味しさです。

「トウモロコシと牛乳だけで、砂糖は一切使っていません。標高1100mくらいの高地で育った甘いトウモロコシで、生でも食べられるんですよ」(小林さん)

海がない長野県で保存食として普及した「塩丸イカ」、リンゴで育った「信州牛」など、長野の食材や風土について、小林さんから説明を受けながら一品一品味わいます。信州の食文化を堪能できる、贅沢な時間です。

 
 
 
 
 
 
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番長名物「美味だれ」と高級地鶏「真田丸」

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そして、いよいよやきとりタイム!

串のかしらと共に提供されたのは、上田のやきとり名物「美味だれ」。通常はビールグラスなどに入れて提供されますが、今回は“東京仕様”でオシャレにワイングラスに入って登場です。

すりおろしニンニクが入ったしょう油だれが、美味だれの定義。後から自分の好みで味を調整できる「追いだれ」と、上田が生んだ「美味しいたれ」という2つの意味が含まれているそうです。

 
ちなみに、串カツのように二度づけ禁止で、「二度づけしたら、買い取りか、グラス1杯飲んでもらいますよー(笑)」とのことでした。

 
10店舗あれば、10種類の味があると言われる上田の美味だれ。番長の美味だれの特徴は、小林さんいわく、「僕と同じで、見た目濃そうに見えて、意外とアッサリ」。

「だからたっぷりつけて味わって!」ということで、グラスの底までとっぷり串を沈めてからいただきます。

焼きたてのかしらとネギのジュワッとした旨味と、たれの甘みが口の中で溶け合って、クセになる味!

 
コクのあるたれですが、ニンニクの香りは強すぎず、小林さんの説明通り、意外にサラリとしていて、しつこさは全くありません。何本も食べられる、食べたい!と感じてしまう、魔性のたれです。

 
 
 
 
 
 
美味だれを楽しんだ後はお待ちかね、地鶏「真田丸」もも焼き。

 
もも焼きは、そのままでも十分旨味が強いのですが、番長自家製の黒ゴマコショウを付けていただくと、アクセントになって、旨味の層がぐっと広がります。

「真田丸に黒ゴマコショウはうちオリジナルのレシピです。性格がひねくれてるので、何でも変わってるものがやりたくなる(笑)」(小林さん)

この後も、芳醇な香りの松茸茶碗蒸しや、シメの二八蕎麦、爽やかな甘さのアップルパイなどをたっぷりといただき、ボリュームもバラエティーも盛りだくさんのコースでした。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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焼き師・小林さんを五感で味わう

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私はこれまで、やきとりは舌で味わうものだと思っていました。でも舌で感じる味はやきとりの魅力のごく1部なのかもしれません。

 
 
肉を焼く過程で変わってく香りや音、煙、灰。それを指揮者のように操る焼き師の動き、表情、声、情熱……。

 
振り返ると、今回の実演ライブは、五感をフル活用して、信州の食文化を味わい、そして、焼き師・小林さんを味わうあっという間の2時間だったと感じます。

 
焼き場に立つ小林さんは、とにかくカッコイイ!

 
「仕事してるように見られないんだよね〜」などと軽快なトークで客席を盛り上げつつ、鋭い視線を細かく動かして、網の上の肉を見つめます。この表情のギャップも、堪りません。

 
 
 
 
「常に命がけ」の心意気を六文銭に込めて、戦いに挑み続けた真田幸村公と、「一鳥入魂!」の覚悟でやきとりと向かい合い、焼き師を極める小林さんの姿が重なります。

 
 
 
上田には番長の味だけでなく、焼き師・小林さんのファンが多いというのも納得です。(この日も上田から小林さんの追っかけが来場されていました!)

 
換気扇にも負けずよく通る声は本当に俳優のようで、すっかり小林さん主演の舞台を鑑賞した気分に。デザートを終えた後、思わず「アンコール!」と言いながら拍手をしてしまいました。

ものすごいプロフェッショナルに出会い、ものすごく美味しいものを食べると、心の底から「生きててよかった!」と思えるものですね。

食べ物としての枠を超えた、人や社会をつなぐ「文化」としてのやきとりの魅力を体感できる、それが「やきスタ」の実演ライブの醍醐味ではないでしょうか。食事を楽しむ空間なのに、「美味かった」以上の感情がどんどん湧き出てきて、人に語りたくなる……こういう場所はなかなかないと思います。

 
ぜひまた別の焼き師ライブにも参戦して、新たなやきとり文化が生まれる瞬間に立ち会いたいです。ご馳走様でした!

 
 
 
Text:(露木彩/ライター)
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