イベントレポート - 2019.02.05

12/29 やきスタ実演ライブVol.7 「炭火やきとり森田」森田尊則さん、実演ライブレポート!〜顔から滲み出る、やきとりへの探究心〜

今回は、「やきとりスタジアム東京」のDMなどのデザインをしていただいている、デザイナーの田口さんのレポートです!


「顔から滲み出る、やきとりへの探究心。」

12/29日、忘年会の喧騒が落ち着いてきた銀座・有楽町。
実演LIVEにて、唯一2回目の「やきとりスタジアム東京」の焼き台に立つ炭火やきとり森田 焼き師・森田尊則さんの回へお邪魔してきました。

私は普段、「やきとりスタジアム東京」とは紙媒体を中心としたデザイナーとして関わらせてもらっています。
そんな私がなぜレポートを・・・?と言いますと、日本のソウルフードであるやきとりを、記者だけでなくいろいろな人の視点や感想を通して伝えていきたいというディレクターさんの熱い想いにやられました。

実は、森田さんとは、「やきとりスタジアム東京」オープン前の関係者による会合で、少しお話をさせて頂いていました。世代が近いこともあり、そのときから、やきとりに真摯に向かうお姿に惹かれていました。

イベント直後、「1回目と今回で意識したことは?」との問いに、森田さんは、
「いや、前回と今回の違いについては、特に考えているわけではなくて、日々こうやったらどうなるかなと考えながらやっているので、その延長線上で今日は来させていただいた感じです」

ひと通り実演を見させてもらった自分としては、さぞかし今回のライブに向けて特別なトライをしていたはず、という浅はかな予想が良い意味で裏切られました。

プロダクトや商品デザインを主にしている私の仕事柄、今までいろいろな分野の職人さんのお仕事を見る機会に恵まれてきました。
桶職人さんは理想の削りを得るためにあらゆるサイズのカンナをつくる。漆の塗り師さんは簡単に見えて塗り方それぞれに呼吸を工夫する。

今、カウンター越しに私の眼鏡に映る、焼き台の角度にこだわる焼き師の姿。
台を少しななめにすることによって、火力を均一にし、肉の良い脂を落とさずに串を伝わらせる。それは鶏から溢れる脂を一滴も無駄にはしたくないかの如く。
お客さんの状況に目を配りながら、コンコンコン、と台の調節にも余念がないのです。

今か今かと待ちわびるお客さんたちを前に、森田さんは丁寧に苦手なものを聞いていきます。

記念日のカップル、家族揃っての特別なディナー、お客さんそれぞれが思い思いに森田さんの味を楽しんでいる。
森田さんの串を焼く姿はじつに楽しそう。溢れでた表情とともに焼かれる串はお客さんに最高のスパイスとなって提供される。

「だって人生楽しくないと」
だから真剣に、まじめに、やきとりと向き合う。

このメモばかり取っている眼鏡の男の子は何をしているのかしら、、と隣の美しい女性の眼差しがかよったのか、幸運にも、私も串をいただけることになりました。

今回のコースは、
つくね、手羽、せせり、ぼんじりなど一般的に知られている部位に加え、その日その日で新鮮さや状態をみて仕入れ、朝1で大阪でさばいてきた肉を焼く森田さんの世界を存分に楽しめるコースでした。

まず、
目の前の黒い石版のお皿に、程よい間をもって置いた串は通称「抱き身」。

鶏の胸は身を抱いているように見えることから名がついたそう。皮を剥いでからまた巻き直すという手間ひまかけた調理とはつゆ知らず、私は柔らかなお肉を頬張った。お客さんに出す直前に剃って美しく添えられたワサビも絶妙。

近しい焼き鳥クリエイティブチームのなかでも、森田さんの焼き鳥の代名詞となっている「つくね」。
確かに今まで味わったことのない食感と味が素直に美味しい。通常より長く育った親鳥からしか作れないというこの濃い肉と甘い玉ねぎの味わいは、森田さんの度重なるやきとり研究の賜物。

レバー、ネギマ、砂じり(砂肝)。森田さんチョイスの”はつ”や”ヘタ”。
ご自身で産地をまわって探される、名古屋コーチンや薩摩地鶏黒王、鳥取の大山鶏を中心に、野菜や調味料、使う道具のひとつひとつにまでこだわりがあります。
それは、普段使い慣れたホームであるご自身の店とは違う、ここ銀座でも、
日々が試行錯誤の延長なのです。

いつか、森田さんのホーム、大阪でも彼のやきとりを味わってみたい。

「炭火焼きとり 森田」
大阪府大阪市中央区淡路町3丁目4−13 東和ビル1F
https://yakitorimorita.gorp.jp
 
 
「なんでも包み隠さず話しますよ。レシピ以外は」

学びにくる若い人たちにも全て手の内を見せて、質問に答えるという森田さん。
焼き師を目指した頃からつけている「やきとりノートに」綴られたご自身の経験に裏打ちされている自信。

印象深いのは、私の素人的な質問にもわかりやすく、言語化して解説してくれること。
背中を見て盗め、という教訓も確かにその通りではあるが、それでは、職人が育つのに時間がかかりすぎる、という桶職人さんの言葉が頭に浮かびました。

技術は教えて教わることができる、
ただ、「何が作りたいか」「何を求めていくのか」は自分で考えなければならない。

現代の、これからの職人の姿を今ここに見た気がした実演ライブ。

「ウチの子どもが喜ぶんですよ」
と少し恥じらいながら、ミシュラン・ビブグルマンの獲得もあり、増えているであろうメディアなどの取材を受ける理由や、歴代の殿堂焼き師に2回の歴史を残したご自身の写真パネルに対してのコメントがとても印象的でした。

その言葉には、「焼き師」を子どもが憧れる職業にしていきたいという、「やきとりスタジアム東京」に集う焼き師たちの想いが集約されていました。

 
Report / Yusuke Taguchi
Photo / Yoshiro Yamada
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